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豆知識(旧ブログ)

さこだ歯科のスタッフが綴る、口腔内に関する豆知識です。
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歯の痛みはなぜ起こるのでしょうか。歯や歯の周りが痛いとき、本当に歯が原因となっている場合と、歯以外に原因がある場合があります。

歯が原因の痛み
虫歯歯周病、外傷など、歯が原因の痛みにもいろいろなケースが考えられます。

歯が原因となる「歯の痛み」
象牙質とは、歯の一番表にある「エナメル質」の内側のことです。この象牙質が細菌によって破壊されたり、エナメル質が溶けて象牙質が口腔内に出てきたりすると、熱いものを食べたときや、甘いものやすっぱいものを食べたときに鋭い痛みを生じることがあります。

歯髄とは、象牙質の内側にある神経組織のことで、そこにはたくさんの神経や血管が存在しています。そのため、歯が原因の痛みの中でも、ズキズキと強烈な痛みを感じる場所です。

虫歯が歯髄まで届いた場合や、歯が折れたり割れたりしてしまった場合に痛みが起こります。痛みは耳や頭、頬にも広がりますが、この歯髄の炎症による痛みは、通常、数時間から数日間の間に治まる場合が多いです。

象牙質の痛み
歯髄(しずい)の痛み
歯が原因となる「歯の周りの痛み」
歯の周り(歯周組織)の痛みの原因には、歯の根の先に炎症が起きて痛む「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」、歯の周囲が炎症を起こす「辺縁性歯周炎(へんえんせいししゅうえん)」などがあります。

これらが発症すると、細菌の感染によって、歯肉や歯を支えているあごの骨である「歯槽骨(しそうこつ)」、歯槽骨と歯の根を繋ぐ組織の「歯根膜(しこんまく)」などに炎症が起き、痛みが生じます。

歯が原因となる「歯肉の痛み」
詰め物や被せ物などによって部分的に歯の噛み合わせが高かったり、歯並びが悪かったりすると、歯肉が圧迫・摩擦され、歯周ポケット(歯と歯茎の境目にある溝)に急性の炎症が起こります。

ほかにも、繊維質のものを食べた後に起きやすい「食片圧入(しょくへんあつにゅう)」や、親知らずの炎症である「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」があります。

歯が原因となる「歯槽粘膜の痛み」
歯茎の一部で、頬や唇をひっぱると動く部分が、外傷、熱傷、ウイルスの感染などによって痛みます。びらんや潰瘍を形成する疾患に関連しています。

歯が原因ではない歯の痛み
歯が痛くて歯医者に行ったけれど、歯や歯のまわりが原因ではなかったというケースもあります。その場合、以下のようなことが原因となっていることが多くあります。

咀嚼筋(そしゃくきん)の痛みによるもの
咀嚼筋(ものを噛むための筋肉)の痛みを歯の痛みとして感じてしまう場合があります。下あごから頬骨にかけての筋肉「咬筋(こうきん)」が原因で下の奥歯が痛んだり、こめかみから頭の横にかけての筋肉「側頭筋(そくとうきん)」が原因で上の奥歯が痛んだります。これらには持続的な痛みがあります。

急性上顎洞炎(じょうがくどうえん)によるもの
急性上顎洞炎とは、鼻の横にある上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる空洞に膿がたまる疾患です。風邪を引いた後などに起こりやすく、上の奥歯が痛むほか、膿のような鼻水が出たり、目の奥が痛んだり、頭痛が生じたりします。

顎関節症(がくかんせつしょう)によるもの
顎関節症では、あごの関節や筋肉が痛むことによって、奥歯の外側の頬が痛くなります。顎関節症は、あごの筋肉が緊張したり、精神的なストレスが原因となって発症します。

神経障害によるもの
神経痛のひとつです。歯を触ると発作が起きたり、発作の痛みが歯に広がったりします。痛みは突発的で、鋭いのが特徴です。

歯や口の周りの神経で発生することの多い、急性の炎症です。ウイルスが原因で、口腔内に水泡ができますが、初期段階では歯の痛みだけが起こることもあります。

ウイルスに感染した神経に沿って強く痛むため、歯髄炎と似た症状が見られることもあります。

歯がないのに歯が痛み出すことがあります。歯の痛みは続くものの原因が見つからない状態を、一般的に非定型歯痛と呼びます。

三叉神経痛
帯状疱疹
非定型歯痛
神経血管性によるもの
片頭痛が歯の痛みとして感じられることもあります。ズキズキした痛みは歯髄の痛みと似ており、奥歯や上の犬歯が痛むケースが多く見られます。

心因性によるもの
身体表現性障害の中の疼痛性障害によるものや、うつ病による歯の痛みなどがあります。いずれも精神疾患のため、精神科での治療が必要です。

歯の痛みに効果的な応急処置
つらい歯の痛みに効果的な応急処置を紹介します。すぐに歯医者へ行けないとき、歯痛を抑える方法を知っておくと便利です。

頬から患部を冷やす
氷枕や濡れタオルを準備して、患部を頬から冷やします。冷やすことで血液の巡りを抑えられ、過敏になっている神経を落ち着かせることができるので、歯の痛みが和らぎます。このとき、歯を直接冷やすと逆効果なので気をつけましょう。また、発熱したときにおでこに貼る冷却シートを頬に張っても、同じような効果が期待できます。

口中を清潔にする
食後に歯が痛くなった場合は、食べかすが歯と歯の隙間に詰まって、神経を圧迫している可能性があります。患部を刺激しないように、糸ようじやつまようじを使って食べかすを取ったり、水で口をゆすいだりして、常に口の中を清潔に保ちましょう。また、患部に当たらないように、歯垢を取り除くのも効果的です。うがい薬で口をゆすいでもよいでしょう。

ロキソニンなどの飲み薬を服用する
歯が痛む場合には、ロキソニンなどの飲み薬も役立ちます。ロキソニンは、歯医者で処方されるほか、市販薬としても売られています。

ロキソニン使用時の注意点については、『歯痛の薬とその効果・すぐできる応急処置の方法について』をご覧ください。

塗り薬を塗る
痛み止めの飲み薬が効かない場合は、患部に直接塗るタイプの薬を使いましょう。患部に直接塗るため、即効性を期待できます。